インテル® VTune™ Amplifier 2018 ヘルプ

リモート解析向け組込み Linux* システムの設定

組込み Linux* システム、Wind River*、Yocto Project*、FreeBSD* などでパフォーマンス解析を行うには、インテル® VTune™ Amplifier を使用します。

組込みデバイスのパフォーマンス・データは、リモート接続した組込みデバイスで収集し、ホストシステムにインストールされたインテル® VTune™ Amplifier のインスタンスから解析を実行できます。これは、低パフォーマンス、ディスクの容量不足、ユーザー・インターフェイス制御の問題などにより、ターゲットシステムがローカルデータ解析ができない場合に便利です。

インテル® VTune™ Amplifier によるパフォーマンス解析で使用するコレクターとドライバーをインストールするには、オペレーティング・システムのカーネルへの root アクセスが必要です。

組込みデバイス上でパフォーマンス解析を可能にするには、いくつかの方法があります。

ヒント

MinnowBoard Max デバイス上での Yocto Project* 設定の詳細を示すチュートリアルがあります: https://software.intel.com/en-us/vtuneampsys_hotspots_remote_l (英語)。

インテル® System Studio の統合レイヤーを使用する

インテル® System Studio の統合レイヤーは、Wind River* Linux* または Yocto Project* がインストールされた組込みシステムで動作します。

インテル® System Studio の統合レイヤーは、ドライバーと対応するターゲットパッケージをオペレーティング・システム・イメージ内に自動的に組込むことで、インテル® System Studio 製品をターゲット・オペレーティング・システムと完全に統合することを可能にします。このオプションを使用すると、プラットフォーム・ビルド・エンジニアはカーネルソースとシグネチャー・ファイルのすべてを制御することができますが、アプリケーション・エンジニアには許可されません。プラットフォーム・ビルド・エンジニアは、製品ドライバーとターゲットパッケージを統合して、それらをアプリケーション・エンジニアへ提供する組込みデバイスイメージに含めることができます。

1. インテル® System Studio をインストールします。

インストーラー GUI を使用して、インテル® System Studio をインストールします。

ヒント

ホストシステム上に、Wind River* Linux* と Workbench がすでにインストールされている場合、インテル® System Studio のインストール時に [Integrate to Wind River* Linux and Wind River* Workbench (Wind River* Linux* および Wind River* Workbench と統合する)] チェックボックスをオンにします。Wind River* Linux* と Workbench をインストールする前に、インテル® System Studio をインストールする場合、インストール時の自動統合を無視して Wind River* Linux* と Workbench のインストール後に手動で統合します。

2. インテル® System Studio の統合レイヤーをインストールします。

  1. インテル® System Studio のインストール先から、ターゲット・オペレーティング・システムの開発フォルダーに統合レイヤーをコピーします。
  2. インストール後のスクリプトを実行します: wr-iss-<version>/<OS>-setup/postinst_<OS>_iss.sh <ISS_BASE_dir>

このステップは、インテル® System Studio のインストールと Wind River* Linux システムへの統合の一部として完了できます。ホストシステム上に、Wind River* Linux* と Workbench* がすでにインストールされている場合、インテル® System Studio のインストール時に [Integrate to Wind River* Linux and Wind River* Workbench] チェックボックスを選択します。Wind River* Linux* と Workbench* をインストールする前に、インテル® System Studio をインストールする場合、インストール時の自動統合を無視して Wind River* Linux* と Workbench* のインストール後に手動で統合します。

3. 適切なインテル® VTune™ Amplifier パッケージを含むレシピをビルドします。

  1. ディレクトリー wr-iss-<version> へのパスを bblayers.conf ファイルに追加します。

    BBLAYERS= "\

    ...

    <OS_INSTALL_DIR>/wr-iss-<version>\

    ...

    "

  2. conf/local.conf にインテル® VTune™ Amplifier のレシピを追加します。次のようなレシピがあります。

    • intel-vtune-drivers: スタックおよびコンテキスト・スイッチと PMU ベース解析に必要なすべてのインテル® VTune™ Amplifier のドライバーを統合します。追加のカーネルオプションを有効にする必要があります。

    • intel-vtune-sep-driver: カーネルオプションで要求される最小限の PMU ベース解析で必要なドライバーを統合します。

    それぞれの方法の詳細については、リモート Linux* ターゲットの設定を参照してください。

このステップは、 Wind River* Workbench を使用して新しい Wind River* Linux* プラットフォーム・プロジェクトを作成する際に完了することができます。

4. ターゲットのオペレーティング・システムをビルドします。

インテル® VTune™ Amplifier のコレクターとドライバーの統合が完了したターゲット・オペレーティング・システムをビルドします。

5. ターゲットの組込みデバイスへオペレーティング・システムを書き込みます。

ターゲットの組込みデバイスへオペレーティング・システムを書き込んだ後に、適切なインテル® VTune™ Amplifier のドライバーが存在することを確認します。詳細については、Linux* ターゲット向けにサンプリング・ドライバーをビルドをご覧ください。

6. ターゲットの組込みデバイスで解析を実行します。

SSH 接続または SEP コマンドを使用して、ホストシステムから解析を実行します。

ホストシステムから解析を実行するには、次の手順に従ってください。

  1. RSA キーを使用して、ターゲットへのパスワードなしの SSH アクセスをセットアップします。

  2. 解析ターゲットとリモートシステムを指定します。

    リモート接続を設定した後、インテル® VTune™ Amplifier はターゲットシステムに適切なコレクターをインストールします。

  3. 解析タイプを選択します。

  4. 解析タイプを設定します。

  5. ホストから解析を実行します。

SEP コマンドを実行する詳しい方法は、製品ユーザーガイドの「サンプリングの有効化」をご覧ください。

7. インテル® VTune™ Amplifier GUI で結果を表示します。

ホスト上で収集した結果を表示します。

例:

インテル® System Studio の統合レイヤーと Wind River* Linux* を設定する

インテル® System Studio の統合レイヤーと Yocto Project* を設定する

インテル® VTune™ Amplifier の Yocto Project* 統合レイヤーを使用

インテル® VTune™ Amplifier の Yocto Project* 統合レイヤーは、オペレーティング・システム・イメージに自動的にドライバーを組込みます。このオプションを使用すると、プラットフォーム・ビルド・エンジニアはカーネルソースとシグネチャー・ファイルのすべてを制御することができますが、アプリケーション・エンジニアには許可されません。プラットフォーム・ビルド・エンジニアは、製品ドライバーとターゲットパッケージを統合して、それらをアプリケーション・エンジニアへ提供する組込みデバイスイメージに含めることができます。

1. インテル® VTune™ Amplifier をインストールします。

インテル® VTune™ Amplifier をインストールします。

2. 統合レイヤーを設定します。

  1. パッケージ <install-dir>/target/linux/vtune_amplifier_target_x86.tgz または <install-dir>/target/linux/vtune_amplifier_target_x86_64.tgz を展開します。

  2. ユーザー設定を指定するため、sepdk/vtune-layer/conf/user.conf ファイルを修正します。

    1. 次のいずれかのパスを指定します。

      • ZIP されていないターゲットパッケージへのパス: VTUNE_TARGET_PACKAGE_DIR = "<PATH>"

      • インテル® VTune™ Amplifier インストール・ディレクトリーへのパス: VTUNE_AMPLIFIER_DIR = "<PATH>"

    2. (オプション) システムブートの間に SEP ドライバーを統合するため、ADD_TO_INITD = "y" を指定します。

  3. 統合レイヤーを Yocto Project* 開発環境へコピーします。

  4. レイヤー bblayers.conf ファイルへのパスを追加します。

    BBLAYERS= "\

    ...

    <OS_INSTALL_DIR>/vtune-layer\

    ...

    "

  5. conf/local.conf にインテル® VTune™ Amplifier のレシピを追加します。次のようなレシピがあります。

    • intel-vtune-drivers: スタックおよびコンテキスト・スイッチと PMU ベース解析に必要なすべてのインテル® VTune™ Amplifier のドライバーを統合します。追加のカーネルオプションを有効にする必要があります。

    • intel-vtune-sep-driver: カーネルオプションで要求される最小限の PMU ベース解析で必要なドライバーを統合します。

    それぞれの方法の詳細については、リモート Linux* ターゲットの設定を参照してください。

3. ターゲットのオペレーティング・システムをビルドします。

インテル® VTune™ Amplifier のコレクターとドライバーの統合が完了したターゲット・オペレーティング・システムをビルドします。

4.ターゲットの組込みデバイスへオペレーティング・システムを書き込みます。

ターゲットの組込みデバイスへオペレーティング・システムを書き込んだ後に、適切なインテル® VTune™ Amplifier のドライバーが存在することを確認します。詳細については、Linux* ターゲット向けにサンプリング・ドライバーをビルドをご覧ください。

5. ターゲットの組込みデバイスで解析を実行します。

SSH 接続または SEP コマンドを使用して、ホストシステムから解析を実行します。

ホストシステムから解析を実行するには、次の手順に従ってください。

  1. RSA キーを使用して、ターゲットへのパスワードなしの SSH アクセスをセットアップします。

  2. 解析ターゲットとリモートシステムを指定します。

  3. 解析タイプを選択します。

  4. 解析タイプを設定します。

  5. ホストから解析を実行します。

SEP コマンドを実行する詳しい方法は、製品ユーザーガイドの「サンプリングの有効化」をご覧ください。

6. インテル® VTune™ Amplifier GUI で結果を表示します。

ホスト上で収集した結果を表示します。

例:

インテル® VTune™ Amplifier の統合レイヤーと Yocto Project* を設定する

インテル® VTune™ Amplifier にバンドルされているインストール・パッケージを使用

コマンドラインから、手動でカーネルイメージに適切なドライバーを組み込んで、インテル® VTune™ Amplifier のコレクターをインストールできます。この手順では、構成されたカーネルソースへの root アクセスが必要です。

1. インテル® VTune™ Amplifier をインストールします。

GUI インストーラーを使用してインストールします。

2. ターゲットの組込みデバイスで解析を実行します。

ホストシステムから解析を実行するには、次の手順に従ってください。

  1. RSA キーを使用して、ターゲットへのパスワードなしの SSH アクセスをセットアップします。

  2. 解析ターゲットとリモートシステムを指定します。パッケージに含まれるコレクターとドライバーが自動的にインストールされます。

  3. 解析タイプを選択します。

  4. 解析タイプを設定します。

  5. ホストから解析を実行します。

3. インテル® VTune™ Amplifier GUI で結果を表示します。

ホスト上で収集した結果を表示します。

トラブルシューティング

コレクターのインストール時にドライバーがビルドできなかった場合、インストーラーはサンプリング・ドライバーのビルドが必要であることを警告します。

ドライバーは、コンパイラー・ツールチェーンの利用状況に応じて、ターゲットシステムまたはホストシステム上でビルドされます。

  1. ターゲットシステムでコンパイラー・ツールチェーンが利用できる場合:

    1. ターゲットの組込みデバイスで、<install-dir>/sepdk/src ディレクトリーからドライバーをビルド (./build-driver コマンドを使用してビルドします)。
    2. ドライバーを ./insmod-sep コマンドを使用してカーネルにロードします。
  2. ターゲットシステムでコンパイラー・ツールチェーンが利用できない場合:

    1. ホストシステム上で、ターゲットパッケージのドライバーのソースを使用しドライバーをクロスコンパイル (sepdk/src ディレクトリーにある ./build-driver コマンドを使用してビルドします)。必要に応じて、ビルドに必要なクロスコンパイラーとターゲットのカーネル・ソース・ツリーを準備します。
    2. sepdk/src フォルダーをターゲットシステムにコピーします。
    3. ドライバーを ./insmod-sep コマンドを使用してカーネルにロードします。

詳細については、Linux* ターゲット向けにサンプリング・ドライバーをビルドをご覧ください。

例:

インテル® VTune™ Amplifier のターゲットパッケージと Yocto Project* を設定する