さらに正確な解析結果を得るため、イベントベースのサンプリング・データ収集の複数実行を有効にします。
インテル® VTune™ プロファイラーは、ハードウェア・イベントベース・サンプリング解析を実行して、選択した解析タイプで定義されているイベントに基づいてデータを収集します。一度の実行で監視できるイベント数は、プロセッサー内のパフォーマンス・カウンターの数によって決まります。データ収集の複数回実行を有効にした場合、インテル® VTune™ プロファイラーは解析タイプで指定されたすべてのイベントデータを収集するため、必要な回数だけハードウェア・イベントベースのサンプリング・コレクターを実行します。解析ターゲットに起動するアプリケーションを指定すると、インテル® VTune™ プロファイラーはハードウェア・イベントベースのサンプリング・コレクターを実行するたびにアプリケーションを起動します。
インテル® VTune™ プロファイラーは、一度のサンプリングで物理カウンターを多重化して使用することで、データ収集の複数回実行を回避できます。イベントの多重化により、アプリケーションを複数回起動する必要がなくなるため、結果データの精度は低下しますがサンプリング収集を短時間で完了できます。多重化モードで収集されるイベントサンプル数は、合計収集ランタイムから推測されます。
イベントの多重化は、アプリケーションの定常状態が長くない場合や、定常状態に戻るまで時間を要する場合にも役立ちます。一方、アプリケーションの初期化時間が短く短時間で定常状態になる場合、短時間で複数回実行できるためイベントの多重化は不要です。
データ収集の複数回実行を有効/無効にするには次の操作を行います。
複数実行モードを有効にすると、インテル® VTune™ プロファイラーはイベントセットごとにデータ収集を複数回実行します。これらの複数回実行は [タイムライン] ペインで容易に識別できます。それらは灰色のポーズ領域で区切られています。
複数回実行モードはメトリックの計算に影響します。すべての "合計" タイプのメトリック (合計時間、経過時間) は、複数の実行を含む解析セッション全体で計算され、ほかのすべてのメトリックは実行ごとに計算されます。
アプリケーションを複数回実行せずに正確な多重化データを取得するには、カスタム解析を作成してカスタム・ハードウェア・イベントベースのサンプリング解析設定で利用可能な [プリサイス多重化を使用] オプションを有効にする必要があります。このオプションは、各サンプルのイベントグループを切り替える多重化アルゴリズムを有効にします。このモードは、実行時間が短いアプリケーションでより信頼度の高い統計情報を提供します。マイクロアーキテクチャー全般解析結果の [MUX 信頼性] メトリックが低い場合も、プリサイス多重化の使用を検討するとよいでしょう。