メモリー割り当て API

インテル® VTune™ プロファイラーは、malloc 形式のヒープ管理関数のセマンティクスを識別するのに有用な一連の API を提供します。

これらの API を使用してコードにアノテーションを追加すると、インテル® VTune™ プロファイラーはメモリーアクセス解析の一部としてメモリー・オブジェクトを正確に判別できます。

使用法

メモリー割り当て API を使用するには次のガイドラインに従ってください。

コードでメモリー割り当て API を使用する

操作

説明


typedef void* 
__itt_heap_function;
 
__itt_heap_function 
__itt_heap_function_create( 
      const __itt_char* , 
      const __itt_char*  );
          

begin および end 呼び出しとドメインに一致するハンドルタイプを宣言します。

  • name = アノテートする関数の名前です。

  • domain = 一致する関数のセットを識別する文字列です。例えば、alloc_my_structsfree_my_structs、および realloc_my_structs など、my_struct で動作する 3 つの関数がある場合、同じドメインを 3 つの __itt_heap_function_create() 呼び出しに渡します。


void __itt_heap_allocate_begin( 
   __itt_heap_function , 
   size_t , 
   int  );
 
void __itt_heap_allocate_end( 
   __itt_heap_function , 
   void** , 
   size_t , 
   int  ); 
          

割り当て関数を特定します。

  • h = この関数名が __itt_heap_function_create() に渡されたときに返されるハンドル。

  • size = 要求されたメモリー領域のバイト単位のサイズ。

  • initialized = このルーチンによってメモリー領域が初期化されるかどうかを示すフラグ。

  • addr = この関数が割り当てられたメモリー領域のアドレスへのポインター。割り当てが失敗した場合は 0。


void __itt_heap_free_begin( 
   __itt_heap_function , 
   void*  );
 
void __itt_heap_free_end( 
   __itt_heap_function , 
   void*  ); 

割り当て解除関数を特定します。

  • h = この関数名が __itt_heap_function_create() に渡されたときに返されるハンドル。

  • addr = この関数が解放するメモリー領域のアドレスへのポインター。


void __itt_heap_reallocate_begin( 
   __itt_heap_function , 
   void* , 
   size_t , 
   int  );
 
void __itt_heap_reallocate_end( 
   __itt_heap_function , 
   void* , 
   void** , 
   size_t , 
   int  ); 

再割り当て関数を特定します。

注: itt_heap_reallocate_end()は、メモリーが返されなくとも要求後に呼び出す必要があります。インテル® VTune™ プロファイラーは、C ランタイムの realloc セマンティクスを想定しています。

  • h = この関数名が __itt_heap_function_create() に渡されたときに返されるハンドル。

  • addr =この関数が再割り当するメモリー領域のアドレスへのポインター。addr が NULL の場合、インテル® VTune™ プロファイラーはこれを割り当てのように扱います。

  • new_addr = 再割り当てされたメモリー領域のアドレスを保持するポインターへのポインター。

  • size = 要求されたメモリー領域のバイト単位のサイズ。new_size が 0 の場合、インテル® VTune™ プロファイラーはこれを解放のように扱います。

使用例: ヒープ割り当て


#include 

void* user_defined_malloc(size_t size);
void user_defined_free(void *p);
void* user_defined_realloc(void *p, size_t s);

__itt_heap_function my_allocator;
__itt_heap_function my_reallocator;
__itt_heap_function my_freer;

void* my_malloc(size_t s)
{
    void* p;

    __itt_heap_allocate_begin(my_allocator, s, 0);
    p = user_defined_malloc(s);
    __itt_heap_allocate_end(my_allocator, &p, s, 0);

    return p;
}


void my_free(void *p)
{
    __itt_heap_free_begin (my_freer, p);
    user_defined_free(p);
    __itt_heap_free_end (my_freer, p);
}

void* my_realloc(void *p, size_t s)
{
    void *np;

    __itt_heap_reallocate_begin (my_reallocator, p, s, 0);
    np = user_defined_realloc(p, s);
    __itt_heap_reallocate_end(my_reallocator, p, &np, s, 0);

    return(np);
}

// ユーザー定義のアロケーターを呼び出す前に、必ずこの init ルーチンを
// 呼び出すのを忘れないでください。
void init_itt_calls()
{
    my_allocator = __itt_heap_function_create("my_malloc", "mydomain");
    my_reallocator = __itt_heap_function_create("my_realloc", "mydomain");
    my_freer = __itt_heap_function_create("my_free", "mydomain");
}

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