ファイナライズは、インテル® VTune™ プロファイラーが収集したデータをデータベースに変換し、シンボルを解決して、データを事前計算することで解析を効率化し、応答性を高めるための処理です。インテル® VTune™ プロファイラーは、データ収集が完了すると自動的にデータをファイナライズします。
インテル® VTune™ プロファイラーには、3 つの基本ファイナライズ・モードがあります。
完全モードは、ターゲットシステム上で未変更のサンプリング・データのファイナライズを行うために使用されます。このモードは、完了に時間とリソースを要しますが、最も正確な結果を生成できます。
高速 (デフォルト) モードは、アルゴリズム的に削減されたサンプリング・データを使用して、ターゲットシステムでファイナライズを行う際に利用されます。これによる精度への影響はわずかであり、ファイナライズ時間は大幅に短縮されます。
他のシステムで実行モードは、サンプリング・データを収集し、バイナリー・チェックサムを計算して別のマシンでファイナライズを行う際に利用されます。データ収集が完了したら、ホストシステムで解析結果をファイナライズして開くことができます。このモードは、IoT デバイスなど、計算リソースが限定されるターゲットでアプリケーションをプロファイルし、後にホストマシンで結果をファイナライズする際に役立ちます。
なし オプションは、ファイナライズを完全にスキップし、バイナリー・チェックサムを計算しない場合に利用されます。この結果は以降にファイナライズすることができますが、制限が生じることもあります。例えば、サンプリング・データの収集後にターゲットシステムのバイナリーが変更されたり、利用できなくなると、バイナリー解決で影響を受けるバイナリーの結果が不正確になったり、欠落する可能性があります。
デフォルトでは、すべての解析設定で高速ファイナライズ・モードが使用されます。モードを変更するには次の操作を行います。
[解析の設定] ボタンをクリックします。
[どこを] ペインで [解析するシステムを選択] ボタンをクリックして、ターゲットシステムを選択して必要な設定を指定します。
[何を] ペインで [解析するワークロードを選択] をクリックして、適切なターゲットタイプを選択します。
[何を] ペインで、[高度] セクションを開いてスクロールし、必要なファイナライズ・モード(例えば、[他のシステムでの実行まで延期]) を選択します。
解析結果が収集され開くと、[サマリー] ビュー > [収集とプラットフォーム情報] セクションで使用されたファイナライズ・モードを確認できます。
次のような場合に再ファイナライズを行う必要があります。
検索ディレクトリーの設定を変更した後に、シンボル情報を更新する場合
結果の [不明] を減らす場合
再ファイナライズを実行するマシンに、ターゲットのオリジナルバイナリーがないと (例えば、ターゲットを再コンパイルした場合など)、再ファイナライズは誤った結果をもたらす可能性があります。再ファイナライズを行うと古いデータベースは削除され、新しいバージョンのバイナリーが参照されます。コレクターが収集した生データにはバイナリー・チェックサムが含まれないため、インテル® VTune™ プロファイラーはバイナリーの新旧を判別できず、古いアドレスで新しいバイナリーを参照して解決しようとします。これは、スタックを適切にアンワインドできずサンプルを誤った関数に割り当てる可能性があります。これを避けるには、正しいファイルを参照するように検索ディレクトリーを設定してください。
デフォルトでは、インテル® VTune™ プロファイラーはファイナライズ後に生の収集データを保存します。後で結果を再ファイナライズしない場合、このデータを削除して結果ファイルのサイズを減らすことができます。生の収集データを削除するには、Microsoft* Visual Studio* メニューから [ツール] > [オプション] > [Intel VTune Profiler <version>] > [General] ペインで、[結果の解決後、生の収集データを削除] オプションをオンにします。スタンドアロン・インターフェイスで生の収集データを削除するには、 メニューボタンをクリックし、 [オプション...]> [全般] を選択します。
Microsoft* Visual Studio* IDE で結果を再ファイナライズするには、[ソリューション エクスプローラー] で結果を右クリックして、[再解決して開く] を選択します。
スタンドアロンのインテル® VTune™ プロファイラー・インターフェイスで結果を再ファイナライズするには、次の操作を行います。
メニューボタンをクリックし、[開く] > [結果...] を選択します。
[結果を選択] ダイアログボックスが表示されます。
再ファイナライズする結果 *.vtune ファイルに移動して [OK] をクリックします。
デフォルトのビューポイントに選択した結果が開きます
[解析の設定] タブをクリックします。
コマンドバーの [再解決] ボタンをクリックします。
インテル® VTune™ プロファイラーは結果を再度ファイナライズします。[バイナリー/シンボル検索] または [ソース検索] ダイアログボックスで検索ディレクトリーのリストを更新した場合、インテル® VTune™ プロファイラーは更新されたディレクトリー・リストを使用してバイナリー/ソース/シンボルを検索します。