システムの概要解析

プラットフォーム全体のシステムの概要解析により、ターゲットシステムの一般的な動作を監視し、パフォーマンスを制限するプラットフォーム・レベルの要因を特定します。

システムの概要解析は、次のプロファイル・モードをサポートします。

また、システムの概要解析を使用して、ソケットおよび DRAM モジュールごとの電力使用量の内訳と、システムの電力使用量データを取得することもできます。

[ハードウェア・イベントベース・サンプリング] モード

このモードでは、CPU、GPU、および I/O リソース全体の利用率を把握し、次のステップへの推奨事項を確認できます。これは、システムのパフォーマンスの問題を切り分ける入門者向けの解析モードです。

システムの概要解析

Linux* ターゲットでは、システムの概要解析は Ftrace イベント (sched、freq、idle、workq、irq、softirq) を収集します。

Android* ターゲットでは、システムの概要解析は次のイベントを収集します。

ハードウェア・トレース・モード (Linux* と Android* ターゲット)

このモードでは、CPU コアのアクティビティーをマイクロ秒単位で取得し異常な動作を検出します。

必要条件:

ハードウェア・トレース・モードでは、次のことができます。

  • この解析ではハードウェアに直接アクセスする必要があります。ゲスト VM 内部では動作しません。

  • ほとんどの場合、このモードでの収集のオーバーヘッドは 10% 未満です。IO や DRAM に依存するアプリケーションではこれより高くなることがあります。

  • ハードウェア・トレース・モードはサンプリング・ドライバーを必要としません。

解析の設定と実行

次のようにシステムの概要解析のオプションを設定します。

必要条件: プロジェクトを作成します。

  1. インテル® VTune™ プロファイラー・ツールバーの [解析の設定] ボタンをクリックします。

    [解析の設定] ウィンドウが表示されます。

  2. [どのように] ペインで、 [実行する解析タイプを選択] ボタンをクリックして、[システムの概要] を選択します。

  3. [ハードウェア・トレース] または [ハードウェア・イベントベース・サンプリング] モードを選択します。

    [ハードウェア・トレース] モードでは、[割り込みを解析] オプションを有効にできます。

    デフォルトの [ハードウェア・トレース] 設定では、インテル® VTune™ プロファイラーは 1GB の上限に達するとデータの収集を停止します。この制限は、[何を] ペインの [高度] セクションで変更できます。

  4. 電力使用量スロットリングの動作の理由を知りたい場合は、[どのように] ペインで、オプションを確認してください。
  5. [開始] ボタンをクリックして解析を実行します。

インテル® VTune™ プロファイラーはデータを収集し、rxxxso 結果を作成して、デフォルトのシステムの概要ビューポイントに表示します。

コマンドラインからこの解析を実行するには、下部にある コマンドライン・ボタンを使用します。

電力使用量を解析

[システムの概要] 解析の [電力使用量を解析] オプションを有効にして、システムの電力特性を把握することができます。

電力使用データを収集するには、[解析の設定] ウィンドウの [どのように] ペインにある [電力使用量を解析] チェックボックスをオンにします。その後、解析を実行します。

データ収集が完了したら、[サマリー] ウィンドウの [電力消費] セクションを参照してください。

このセクションでは、データ収集時のシステムの合計消費電力と、CPU パッケージおよび DRAM モジュールごとの内訳を示します。

[プラットフォーム] ウィンドウに切り替えると、消費電力を時系列で見ることができます。DRAM 帯域幅、CPU 周波数、CPU 利用率など各種メトリクスと、各デバイスが消費する電力量を関連付けます。

タイムライン上では、デバイスの電力は mJ (ミリジュール)/秒で表示されますが、これはミリワットに相当します。

スロットリング解析

CPU が温度制限の範囲外の温度で動作している場合、システムが安定した動作のため CPU 周波数を低下させることがあります。CPU の安全な動作温度を回復するため周波数を低下させると、パフォーマンスが大幅に低下することがあります。システム概要解析を実行し、CPU のスロットリングの原因を特定します。

[解析の設定] ウィンドウの [どのように] ペインで、[スロットリングの原因を解析] チェックボックスをオンにします。その後、解析を実行します。

データ収集が完了したら、[サマリー] ウィンドウの [CPU スロットリングの原因] セクションを参照してください。

[プラットフォーム] ウィンドウに切り替えると、スロットリング・イベントの原因別の内訳が表示されます。

CPU スロットリングの原因:

この情報は、スロットリングの動作を理解し、システム構成に変更を行う判断材料として使用します。この表では、周波数とはプロセッサーのコア周波数を指します。

理由 説明

PROCHOT

外部 PROCHOT のアサートにより、周波数が OS 周波数以下になりました。

THERMAL

サーマルイベントにより、周波数が OS 周波数以下になりました。

RSR-LIMIT

居住国の規制制限違反により、周波数が OS 周波数以下になりました。

RATL

動作平均サーマル制限違反により、周波数が OS 周波数以下になりました。

OTHER

電気的またはその他の制約により、周波数が OS 周波数以下になりました。

PBM-PL1

パッケージ/プラットフォーム・レベルの電力制限 PL1 により、周波数が OS 周波数以下になりました。

PBM-PL2

パッケージ/プラットフォーム・レベルの電力制限 PL2/PL3 により、周波数が OS 周波数以下になりました。

MAX-TURBO-LIMIT

マルチターボの制限により、周波数が OS 周波数以下になりました。

TURBO-ATTENUATION

ターボ遷移の減衰により、周波数が OS 周波数以下になりました。これにより、稼働率が頻繁に変化することから、パフォーマンスが低下する可能性があります。

この理由の詳細については、『インテル®64 アーキテクチャーおよび IA-32 アーキテクチャー・ソフトウェア開発者マニュアル』(英語) を参照してください。

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