インテル Parallel Universe マガジンの最新号が公開されました。
Parallel Universe マガジンは 3 号を除くすべての号が日本語訳されています。初期の号は 20 ページ前後の比較的小規模な読み物でしたが、最近では 100 ページを上回る号もあり、取り上げられる話題や分野も多彩になってきました。
2016 年の 25 号を最後に James Reinders 氏から、Mike Lee 氏 (26 号)、Henry A. Gabb 氏 (27 号以降) に編集長も代替わりしていますが、記事の内容は一貫して最新のプロセッサーから最大限のパフォーマンスを引き出すソフトウェアの開発手法、そして注目される新たなソフトウェア・テクノロジーについて紹介されています。
日本語版の編集では、短期間に読み易い内容の記事をお届けすることに心がけてまいりました。今後も Parallel Universe マガジンが発行される限り、日本語版の提供は … たぶん、きっと続けられます。ご期待ください。 最後に、日本語版 Parallel Universe マガジンをご愛読いただき、編集部を代表してお礼申し上げます。
Parallel Universe マガジン 編集部
注目記事: GPU-Quicksort
掲載記事
- oneAPI アプリケーションのパフォーマンス最適化
- インテル® oneMKL を使用したモンテカルロ・シミュレーションの高速化
- 大規模で高速なアナリティクスをインテル® アーキテクチャーで行う
- 自動微分を使用した並列計算の新しいアプローチ
- マルチコア向け並列プログラミングの 8 つのルール
- 書評:『The OpenMP Common Core』
編集者からのメッセージ
The Parallel Universe 創刊 10 周年
我々はどのような道をたどり、どこへ向かっているのか
本号で The Parallel Universe は創刊 10 周年を迎え、私が編集長に就任してから 3 年が経ちました。名前のとおり、本誌は元々、並列コンピューティングに関連する記事の掲載を目的としていました。並列処理は 10 年前よりもはるかに広く普及していますが、我々のテーマは今でも変わっていません。しかし、時代とともに話題となるトピックは変わりました。新しいベクトル命令セットは、効率良い命令レベルの並列処理を達成します。インテル® アドバンスト・ベクトル・エクステンション 512 (インテル® AVX-512) により、インテルの CPU は実質的にアクセラレーターとして機能します。また、データ・アナリティクスが登場したことで、編集方針を拡張して、並列フレームワーク (Apache Spark* など) や、生産性言語 (Python* や Julia など) によるハイパフォーマンスの実現に関するトピックも取り上げるようになりました。そして、並列コンピューティングの世界もヘテロジニアス並列処理へと拡大しました。
前号で、oneAPI はヘテロジニアス並列コンピューティングにおいて今後重要になると述べました。そのため、本号の最初の 3 つの記事では oneAPI に関連するトピックを取り上げています。注目記事「GPU-Quicksort」では、OpenCL* からデータ並列 C++ へ移行する方法をステップごとに詳しく説明します。続く「oneAPI アプリケーションのパフォーマンス最適化」と「ベータ版インテル® oneAPI マス・カーネル・ライブラリーのデータ並列 C++ 使用モデル」では、インテルのプログラミング・ツールと oneAPI アプリケーションの最適化に関するケーススタディーを紹介し、インテル® oneMKL を利用してインテル® マス・カーネル・ライブラリー (インテル® MKL) 関数をアクセラレーターにオフロードする方法を示します。
OmniSci 社の Venkat Krishnamurthy 氏と Kathryn Vandiver 氏による「大規模で高速なアナリティクスをインテル® アーキテクチャーで行う」では、データサイエンスと従来のアナリティクスの統一について述べます。続く「自動微分を使用した並列計算の新しいアプローチ」では、Dmitri Goloubentsev 氏 (Matlogica 社) と Evgeny Lakshtanov 氏 (アヴェイロ大学) が、オブジェクト指向のシングルスレッドのスカラーコードを、ベクトル化されたマルチスレッドのラムダ関数に変換するツールについて説明します。
The Parallel Universe 創刊号において、創刊編集長の James Reinders が執筆した「マルチコア向け並列プログラミングの 8 つのルール」は、今日でも重要かつ的確な内容であるため、10 周年を記念して再掲載しています。
最後に、これまでにない取り組みですが、書評で本号を締めくくりたいと思います。Oracle Corporation の Ruud van der Pas 氏が、Timothy G. Mattson、Yun (Helen) He、Alice E. Koniges の 3 名により執筆された『The OpenMP Common Core: Making OpenMP Simple Again』の書評を寄稿してくれました。最初の OpenMP* 仕様 (1997 年公開) は、驚くべき技術文書でした。簡潔で (わずか 63 ページ)、多数のコード例が掲載されており、OpenMP* を始めるのに役立ちました。その後、OpenMP* 仕様にはベクトル化、スレッド、アクセラレーターへのオフロードをプログラマーが細かく制御できるようにする重要な新機能が追加され、現在では 666 ページにまで増えました。しかし、本のタイトルにある OpenMP* の「Common Core (必修科目)」は、23 年前とほとんど同じです。
コードの現代化、ビジュアル・コンピューティング、データセンターとクラウド・コンピューティング、データサイエンス、システムと IoT 開発、oneAPI を利用したヘテロジニアス並列コンピューティング向けのインテルのソリューションの詳細は、Tech.Decoded (英語) を参照してください。