この記事は、インテル® デベロッパー・ゾーンに掲載されている「Install Intel® Parallel Studio XE on Amazon Web Services* (AWS*)」の日本語参考訳です。
はじめに
この記事では、アマゾン ウェブ サービス* (AWS*) 上にインテル® Parallel Studio XE をインストールする手順とトラブルシューティングおよびヒントを説明しています。クラウド環境であるため、いくつかのツールの機能が制限されることに留意してください。システムの要件については、リリースノート (英語) をご覧ください。インテル関連のサポートについては、https://software.intel.com/support (英語) をご覧ください。
インテル® コンパイラーを使用してアプリケーションをビルドしたり、インテル® パフォーマンス・ライブラリーとダイナミック・リンクしている場合、AWS* インスタンス上にランタイム・ライブラリーが必要になります。ランタイム・ライブラリーの入手方法については、「Linux* パッケージ・マネージャーを使用してインテル® Parallel Studio XE のランタイムをインストールする」をご覧ください。
また、一般的な Linux* パッケージ・マネージャーを使用して、インテル® パフォーマンス・ライブラリーとインテル® Distribution for Python* をインストールできます。
AWS* 入門
この記事では、読者がすでに AWS* 環境に精通していることを前提としています。AWS* を利用する詳細ついては、「Amazon Elastic Compute Cloud* ドキュメント」をご覧ください。
この記事では、以下を想定しています。
- 読者が AWS* アカウントを持っていること。
- AWS* 環境でインスタンスの作成に精通していること。
- インスタンスを起動する詳細については、「Amazon EC2* Linux* インスタンスの開始方法」および「インスタンスの起動」をご覧ください。
- この記事は、AWS* 環境でのインテル® Parallel Studio XE のインストール手順とトラブルシューティングおよびヒントについて説明します。VM 環境であるため、いくつかのツールの機能が制限されることに注意してください。
- インテル® コンパイラーを使用してアプリケーションをビルドしたり、インテル® パフォーマンス・ライブラリーとダイナミック・リンクしている場合、AWS* インスタンス上にランタイム・ライブラリーが必要になります。Linux* のパッケージ・マネージャーを使用して、無料でインテル® Parallel Studio XE のランタイムにアクセスする方法については、こちらの記事をご覧ください。
- また、一般的な Linux* パッケージ・マネージャーを使用して、インテル® パフォーマンス・ライブラリーとインテル® Distribution for Python* をインストールできます。これについては、こちらの記事をご覧ください。
AWS* Linux* インスタンスを設定
インスタンスを作成
- console.aws.amazon.com にログインします。
- EC2* ダッシュボードへ移動します。
- [Launch Instance] ボタンをクリックします。
- ステップ 1 – AMI の選択: インスタンスとして起動する AMI タイプを選択します。
推奨される AMI: 最新の Amazon* Linux* または Ubuntu* AMI - ステップ 2 – インスタンス・タイプの選択: デフォルトの t2.micro インスタンス・タイプを使用します。
注: 上部にあるダッシュボード・ステップ・バーを使用して任意のステップに移動できます。 - ステップ 3 – インスタンスの設定: 使用する VPC と サブネットを選択します
[Protect against accidental termination] ボックスをクリックします。 - ステップ 4 – ストレージの追加: インスタンスのストレージを最低 25GB に設定します。
- ステップ 5 – タグの追加: 固有の識別子を使用する場合、インスタンスに名前を付けます (例: Key = “Name”, Value = “Intel Parallel Studio XE”)。
- ステップ 6 – セキュリティー・グループの設定: デフォルトの設定を使用するか、セキュリティーの要件に合わせて設定を行います。追加設定に関しては、「フローティング・ライセンスを使用してインストール」をご覧ください。
重要: SSH、ポート TCP 22 がアクセス可能であることを確認します。このセキュリティー・グループは、ライセンス・マネージャーのポート規則によって後で変更されます。 - ステップ 7 – 確認と起動: インスタンスを実行するには、[Launch] をクリックします。
- [Create Key-Pair] ダイアログ: 既存のキーペアを使用するか、[Create a new key pair] オプションを選択してキーペア名 (例:’Intel Parallel Studio XE’) を入力します。[Download Key Pair] をクリックします。キーファイル [.pem] が作成されます。ファイル (IntelParallelStudioXE.pem) を保存します。
注: キーファイルはこのときしか保存できないため、必ずダウンロードしてください。 - [Launch Instances] ボタンをクリックします。ダッシュボードに [Launch Status] が表示されます。[Instance Dashboard] に戻るには、インスタンス ID をクリックします。インスタンスの準備ができて接続できるようになるまでには、数分かかる場合があります。
セキュリティー・グループにライセンス・マネージャーのポートを追加 (フローティング・ライセンスを使用する場合のみ)
ライセンス・マネージャーは、リモート・クライアントにアクセスするポートで 2 つのプロセスを実行します。デフォルトのポートは 27009 [Imgrd] と 28519 [インテル・ベンダー・デーモン・ポート] です。次のステップでは、セキュリティー・グループが編集され、これらのポートが追加されます。
- インスタンス画面で、新たに作成されたインスタンスを選択します。詳細ペインをスクロールダウンして、[Security Groups] に移動し、名前をクリックします。セキュリティー・グループのリストが開きます。
- リストからクリップボードへグループ ID をコピーします。
- 下にあるタブから [Inbound] をクリックします。
- [Edit] ボタンをクリックして、現在のルールのダイアログウィンドウを開きます。
- [Add Rule] ボタンをクリックし、[Custom TCP] タイプで新しいルールを作成します。
- [Port Range] に 27000-27009 を入力します。
- ソースタイプを [Custom] のままにして、グループ ID を右側のテキストボックスにペーストします。
- [Save] をクリックします。
- FlexLM ポートを許可し、ローカル・クライアントのセキュリティー・グループをインバウンド・ルールで参照することで、クライアントがライセンスサーバーに接続できるようになります。
注: このセキュリティー・グループを作成すると、ライセンス・マネージャー自身を含む、同じセキュリティー・グループを持つほかのインスタンスだけがライセンス・マネージャーのポートにアクセスできるようになります。
ネットワーク・インターフェイス (ENI) の終了動作を変更
特定ユーザーライセンスは、ネットワーク・インターフェイスの MAC アドレスに紐付けられています。ネットワーク・インターフェイスが削除されないようにするには、ENI のデフォルト終了動作を変更する必要があります。これは、誤ってまたは意図的にインスタンスが終了された場合に備えるためです。
- インスタンス画面で、新たに作成されたインスタンスを選択します。詳細ペインをスクロールダウンして、[Network] 設定に移動し [eth0] をクリックします。ネットワーク設定のダイアログが開きます。
- ENI 設定ウィンドウを開くには、[Interface ID] をクリックします。
- [Actions] ドロップダウン・メニューで [Change Termination Behavior] を選択します。[Delete on Termination] チェックボックスをオフにし、[Save] をクリックします。
注: インスタンスの MAC アドレスを一定に保つための詳細は、以降の「特定ユーザーライセンスでインストール」をご覧ください。
AWS* インスタンスへ接続
以降の説明では、Linux* または Mac OS* 環境で作業することを前提としています。
さらに詳しい情報や Windows* 環境で作業する場合は以下をご覧ください。
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/AWSEC2/latest/UserGuide/AccessingInstancesLinux.html
必要条件
- SSH クライアントのインストール
Linux* コンピューターは、デフォルトで SSH クライアントを含んでいます。コマンドラインで ssh と入力することで、SSH クライアントを確認できます。使用するコンピューターがコマンドを認識できない場合、OpenSSH プロジェクトから無料で SSH ツールの完全な実装を入手できます。詳細については、http://www.openssh.com (英語) を参照してください。 - AWS* CLI ツールのインストール
(オプション) サードパーティーから提供されるパブリックな AMI を使用する場合、コマンドライン・ツールを使用して認証を確認できます。AWS* CLI のインストールの詳細については、『AWS* Command Line Interface ユーザーガイド』の「インストール」をご覧ください。 - インスタンスのパブリック DNS 名を取得
Amazon EC2* コンソールを使用してインスタンス向けのパブリック DNS を取得できます。([Public DNS (IPv4)] カラムを確認します。このカラムが表示されていない場合は、Show/Hide アイコンを選択し、[Public DNS (IPv4)] を選びます)。必要に応じて、describe-instances (英語) (AWS CLI) または Get-EC2Instance (英語) (Windows* PowerShell* 向けの AWS* ツール) コマンドを使用できます。 - プライベート・キーの位置
インスタンスの起動時に指定したキーペアの .pem ファイルのコンピューター上の場所への絶対パスを取得します。 - IP アドレスからインスタンスへのインバウンド SSH トラフィックを有効にする
インスタンスに関連付けられているセキュリティー・グループが、IP アドレスからの受信 SSH トラフィックを許可していることを確認します。詳細については、「Linux* インスタンス用の受信トラフィックの認可」を参照してください。
重要: デフォルトのセキュリティー・グループは、受信 SSH トラフィックを許可しません。
SSH を使用して接続
- コマンドライン・シェルを開き、インスタンスの起動時に作成したプライベート・キー・ファイルが格納されているディレクトリーに移動します。
- chmod コマンドを使用して、プライベート・キー・ファイルがパブリックに参照できないようアクセス権を変更します。例えば、プライベート・キー・ファイルの名前が my-key-pair.pem である場合、次のコマンドを実行します。
chmod 400 /path/my-key-pair.pem
- インスタンスに接続するには、ssh コマンドを使用します。プライベート・キー (.pem) ファイルと user_name@public_dns_name を指定します。ユーザー名は、Amazon* Linux* では ec2-user、RHEL では ec2-user または root、Ubuntu* では ubuntu または root、CentOS* では centos、Fedora* では ec2-user、SUSE* では ec2-user または root です。それ以外の場合は、ec2-user と root が動作しなければ、AMI プロバイダーを確認してください。
ssh -i /path/my-key-pair.pem ec2-user@ec2-198-51-100-1.compute-1.amazonaws.com
インテル® ソフトウェア開発製品のインストール
AWS* インスタンスが動作したら、製品のインストールを続行できます。
入手したソフトウェア製品に関するメールをインテルから受け取った場合は、メールの指示に従ってシリアル番号を登録し、(アカウントがない場合は) インテル® ソフトウェア開発製品レジストレーション・センターのアカウントを作成します。
ダウンロード
製品をダウンロードします。
- 登録メールを開いてダウンロード・リンクをクリックします。
- または、インテル® ソフトウェア開発製品レジストレーション・センターにアクセスして自身のアカウントでログインします。[Products List] タブで、ソフトウェア製品を選択してダウンロードします
ダウンロード時には、オンライン・インストーラーとオフラインパッケージを選択できます。
- オンライン・インストーラー – 製品をカスタマイズしてすぐにインストールを開始するか、後でインストールするためパッケージをカスタマイズしてダウンロードできます。
- オフラインパッケージ – このパッケージには製品のすべてのコンポーネントが含まれており、カスタマイズされたパッケージよりもサイズが大きくなります。
選択したインストーラーはクラウド・インスタンスに移動する必要があります。
winscp を使用して転送
- インスタンスのパブリック DNS 名を使用して、インスタンスにファイルを転送します。
- 例えば、プライベート・キーのファイル名が my-key-pair で、転送するファイルが SampleFile.txt、そしてインスタンスのパブリック DNS 名が ec2-198-51-100-1.compute-1.amazonaws.com である場合、次のコマンドを使用して、ファイルを ec2-user のホーム・ディレクトリーにコピーします。
scp -i /path/my-key-pair.pem /path/SampleFile.txt ec2-user@ec2-198-51-100-1.compute-1.amazonaws.com:~
- Windows* 環境では、winscp を使用してファイルを転送します。詳細については以下をご覧ください。
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/AWSEC2/latest/UserGuide/putty.html#Transfer_WinSCP
必要条件とインストール
- 開始する前に、システムの更新と開発環境がインストールされていることを確認してください。次のコマンドを実行します。
sudo yum update && sudo yum install wget lsb gcc-c++ expect
Ubuntu*:sudo apt-get upgrade && sudo apt-get install wget lsb g++ expect
- 転送されたファイルがあるディレクトリーに移動します。
- アーカイブを展開します。
tar –xf <package_name>.tgz
- install.sh を実行し、スクリーンの手順に従ってインストールを完了します。
- インストールの詳細については、インストール・ガイド (https://jp.xlsoft.com/documents/intel/parallel/2017/parallel-studio-xe-2017-update1-install-guide-linux.pdf) をご覧ください。
特定ユーザーライセンスでインストール
シリアル番号を使用して製品をインストールすることを推奨します。その他の製品アクティベーションについては、インストール・ガイドと製品ライセンス FAQ (英語) をご覧ください。
特定ユーザーライセンスで同時にアクティベーション可能な数は 3 に制限されています。詳細はインストール台数制限に関する案内をご覧ください。
フローティング・ライセンスを使用してインストール
フローティング・ライセンスのインストールは、ライセンスサーバーのインストールと製品のインストールの 2 つのパートで構成されています。
ライセンスサーバーのインストール
- ライセンスサーバーをダウンロードします。
- インテル® ソフトウェア開発製品レジストレーション・センターにログインします。
- [Serial Numbers] タブで、シリアル番号をクリックします。
- [ライセンスの管理] ページで、[Intel® Software License Manager] を検索します。
- [ダウンロード] ボタンをクリックします。
- 注: インテル® ソフトウェア・ライセンス・マネージャーは、Windows* または Linux* 上で動作し、Windows* または Linux* クライアントのどちらかにライセンスを提供できます。クライアントを実行する OS に固有のライセンスが必要であることに留意してください。
- ライセンス・マネージャーのインストール
- ライセンス・マネージャーをインストールする場合、[I have a license file] を選択します。ライセンスファイルを参照して選択します。
- ライセンス・マネージャーがインストールされると自動的に開始されます。手動で起動する場合、次の操作を行います。
- ホストシステム上で、ライセンスサーバーをインストールしたディレクトリーに移動します。
- -c フラグでライセンスファイルの場所を指定して、lmgrd デーモンを実行します。
./lmgrd –c /path/to/server.lic &
重要: ライセンス・マネージャーをインストールしたインスタンスが終了されないように設定されており、ほかのインスタンスからアクセスできることを確認します。同じセキュリティー・グループに属するインスタンスが相互に通信できるようにするには、そのためのルールを明示的に追加する必要があります。以下を参照してください。
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/AWSEC2/latest/UserGuide/security-group-rules-reference.html
注: ライセンスサーバーは、Windows* と Linux* の両方に対応しますが、ライセンスのタイプはクライアント OS と一致している必要があります。詳細については、製品ライセンスの FAQ (英語) をご覧ください。
製品のインストール
- 製品をダウンロードするには、登録メールのリンクを使用するか、インテル® ソフトウェア開発製品レジストレーション・センターにログインします。ダウンロードのオプションに関する詳細は、上記の「ダウンロード」の節をご覧ください。
- アクティベーション画面で、[I have a serial number and I want to activate my product] オプションを選択します。フローティング・ライセンスのシリアル番号を入力して、インストールを続行します。インテル® Parallel Studio XE の使い方については、入門ガイドをご覧ください。
インテル® VTune™ Amplifier
AWS* は、インテル® VTune™ Amplifier の全機能が利用できる i3.metal という名称のベアメタルを提供します。CPU 数が多い M4 と C5 インスタンス・タイプでは (C5.18xlarge など) PMU へのアクセスが制限され、基本ホットスポット、ロックと待機、並行性解析とともに高度なホットスポット解析タイプが許可されます。その他の EC2* インスタンス・タイプは、仮想環境であるため PMU へのアクセス権がなく、基本ホットスポット、ロックと待機、並行性解析のみが許可されます。詳細については、ユーザー・リファレンス・ガイドをご覧ください。
トラブルシューティングおよびヒント
フローティング・ライセンスのチェックアウトを確認
クライアント上で環境変数 INTEL_LMD_DEBUG を 1 に設定し、コンパイラーなどのツールを実行します。出力の一番下にライセンスの入手先が表示されます。
フローティング・ライセンス・サーバーの場合、チェックアウトが正常に行われたことが示されます。
自動割り当てされたパブリック IP を持たないインスタンスへの接続
自動割り当てされたパブリック IP を使用せずにインスタンスを作成した場合、Elastic IP アドレスを使用する必要があります。Elastic IP アドレスの追加に関する詳細は、https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/AWSEC2/latest/UserGuide/elastic-ip-addresses-eip.html をご覧ください。
関連情報
- インテル® ソフトウェア開発製品レジストレーション・センター – https://registrationcenter.intel.com/ja/
- インテル® Parallel Studio XE インストール・ガイド
- 製品ライセンス FAQ (英語)
- インテル® FLEXlm* ライセンス・マネージャー FAQ (英語)
コンパイラーの最適化に関する詳細は、最適化に関する注意事項を参照してください。