この記事は、インテル ニュースルームに公開されている「New Intel XPU Innovations Target HPC and AI」の日本語参考訳です。
HBM を内蔵した Sapphire Rapids がパフォーマンスの水準を向上。インテルの GPU、ネットワーク、ストレージ機能が HPC ツールボックスを強化。
ISC2021 基調講演のビデオ (iSUS で追加した日本語字幕付き)
ISC2021 基調講演のプレゼンテーションのダウンロード (英語)
ニュースハイライト
- 最新の第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーが世界最先端の次世代スーパーコンピューターとハイパフォーマンス・コンピューティング・システムに搭載。
- 次世代のインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー (開発コード名: Sapphire Rapids) に広帯域幅メモリー (HBM) を内蔵。
- インテルの Xe-HPC ベースの GPU (開発コード名: Ponte Vecchio) が実働テスト段階入り、現在システム検証中。OAM フォームファクターとサブシステムで提供予定。
- インテル® イーサネットを HPC アプリケーションへ拡大するイーサネット接続のハイパフォーマンス・ネットワーキング (HPN) を発表。
- DAOS (分散非同期オブジェクト・ストレージ) の商用サポートを開始。
米国カリフォルニア州サンタクララ、2021 年 6 月 28 日 – ISC (国際スーパーコンピューティング会議) 2021 で、インテルは、さまざまなテクノロジーの発表やパートナーシップ、顧客の採用を含む、ハイパフォーマンス・コンピューティング (HPC) 分野におけるリーダーシップの拡大について説明しました。インテル® プロセッサーは、世界のスーパーコンピューターで最も広く採用されている計算アーキテクチャーであり、世界で医学的発見や科学の進歩を支えています。インテルは、HPC と AI 向けのインテル® Xeon® プロセッサーの進化をはじめ、さまざまな HPC のユースケースに対応するメモリー、ソフトウェア、エクサスケール・クラスのストレージ、ネットワーキングの各テクノロジーにおけるイノベーションを発表する予定です。
詳細: Intel Newsroom: Data Center (英語)
インテル コーポレーションの副社長兼ハイパフォーマンス・コンピューティング事業本部長の Trish Damkroger は、「HPC のパフォーマンスを最大限に引き出すには、利用可能なすべてのコンピューター・リソースとテクノロジーの進歩を活用する必要があります。インテルはエクサスケール・コンピューティングへと向かう業界を支える原動力であり、インテルの CPU、XPU、oneAPI ツールキット、エクサスケール・クラスの DAOS ストレージ、高速ネットワーキングで示した進歩により、エクサスケール・コンピューティングの実現は目前に迫っています」と述べています。
HPC パフォーマンスのリーダーシップの向上
今年初めに発表された第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーにより、HPC 分野におけるインテルのリーダーシップはさらに向上しました。最新のプロセッサーは、生命科学、金融サービス、製造業など、さまざまな HPC ワークロードで、前世代のプロセッサーと比較して最大 53% 高いパフォーマンスを提供します。
x86 の競合製品と比較して、第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーは、一般的な HPC ワークロードで優れたパフォーマンスを示しました。たとえば、インテル® Xeon® Platinum 8358 プロセッサーを AMD EPYC* 7543 プロセッサーと比較した場合、NAMD は 62%、LAMMPS は 57%、RELION 68%、二項オプションは 37%、それぞれパフォーマンスが向上しました。モンテカルロ・シミュレーションは 2 倍以上高速に実行され、金融機関は半分の時間で価格計算の結果を得られるようになりました。インテル® Xeon® Platinum 8380 プロセッサーは、主要な AI ワークロードで AMD EPYC* 7763 プロセッサーよりも優れており、20 の一般的なベンチマークで 50% 高いパフォーマンスを示しています。デル・テクノロジーズ、HPE、大韓民国気象庁、レノボ、Max Planck Computing and Data Facility、オラクル、大阪大学、東京大学など、多くの HPC ラボ、スーパーコンピューティング・センター、大学、OEM が、インテルの最新コンピューティング・プラットフォームを採用しています。
インテルの Xe-HPC ベースの GPU (開発コード名: Ponte Vecchio) は、HPC アプリケーションに必要なスケールアップ/スケールアウト機能を提供し、OCP アクセラレーター・モジュール (OAM) フォームファクターおよびサブシステムとして提供される予定です。(出典: インテル)
次世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーに広帯域幅メモリーを内蔵
モデリングとシミュレーション (数値流体力学、気象/天気予報、量子色力学)、人工知能 (ディープラーニングのトレーニングと推論)、分析 (ビッグデータ分析)、インメモリー・データベース、ストレージなどのワークロードは、人類の科学的な進歩を後押しています。次世代のインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー (開発コード名: Sapphire Rapids) に、メモリー帯域幅を劇的に拡張し、メモリー帯域幅の影響を受けやすいワークロードを操作する HPC アプリケーションのパフォーマンスを大幅に向上する、広帯域幅メモリー (HBM) を内蔵したバージョンが追加されます。ユーザーは、HBM のみ、または HBM と DDR5 と組み合わせて、ワークロードで利用できます。
HBM 内蔵の Sapphire Rapids プロセッサーに対する顧客の評価は非常に好意的で、米国エネルギー省アルゴンヌ国立研究所 (Aurora スーパーコンピューター) やロスアラモス国立研究所 (Crossroads スーパーコンピューター) をはじめとする著名な顧客が早期の段階から採用を決定しています。
アルゴンヌ国立研究所のコンピューティング/環境/ライフサイエンス担当副所長の Rick Stevens 氏は「エクサスケールで結果を導くには、大量なデータへの迅速なアクセスと処理が必要です。インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーに広帯域幅メモリーが内蔵されたことにより、Aurora のメモリー帯域幅が大幅に向上し、AI やデータ分析の能力を活用して、高度なシミュレーションや 3D モデリングを実行することができます。」と述べています。
ロスアラモス国立研究所の兵器物理学担当副所長の Charlie Nakhleh 氏は「ロスアラモス国立研究所の Crossroads スーパーコンピューターは、科学の進歩や国家安全保障を目的に、複雑な物理システムの研究を進めるために設計されています。広帯域幅メモリーが組み合わされた次世代のインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーにより、Crossroads システムで実行するメモリー負荷の高いワークロードの性能は大幅に向上できると見込まれています。[HBM 搭載の Sapphire Rapids] 製品は、最大規模の複雑な物理/エンジニアリング演算を高速化できるため、我々はグローバル・セキュリティー、エネルギー技術、経済的競争力における主要な研究開発で担う責任を全うできます。」と述べています。
Sapphire Rapids を搭載するプラットフォームは、PCI Express 5.0 による (PCI Express 4.0 との比較で) 優れた I/O 帯域幅、インターコネクト規格 Compute Express Link* (CXL) 1.1 のサポートなど、HPC を高速化する独自の機能を備えており、コンピューティングからネットワーキング、ストレージにわたる高度なユースケースに対応できます。
メモリーと I/O の進歩に加えて、Sapphire Rapids は、インテル® Advanced Matrix Extensions (インテル® AMX) と呼ばれる新しい AI アクセラレーション・エンジンが内蔵され、HPC と人工知能 (AI) ワークロード向けに最適化されています。インテル® AMX は、ディープラーニングの推論とトレーニングのパフォーマンスを大幅に向上するように設計されています。すでに、CINECA、ライプニッツ・スーパーコンピューティング研究センター (LRZ)、アルゴンヌ国立研究所、ロスアラモス国立研究所の Crossroads システム、サンディア国立研究所などで Sapphire Rapids の活用が開始されています。
インテルの Xe-HPC ベースの GPU (開発コード名: Ponte Vecchio) が実働テスト段階入り
今年の初めに、インテルの Xe-HPC ベースの GPU (開発コード名: Ponte Vecchio) が実働テスト段階に入りました。現在は、システム検証のプロセスに入っています。Ponte Vecchio は、HPC と AI ワークロード向けに最適化された Xe アーキテクチャー・ベースの GPU で、インテルの Foveros 3D パッケージング技術を利用して、HBM メモリー、その他の Intellectual Property (IP) など、複数の IP をパッケージ内に統合しています。この GPU は、コンピューティングから、メモリー、ファブリックまで、Aurora をはじめとする世界最先端のスーパーコンピューターの高まるニーズに対応できるように設計されています。
Ponte Vecchio は、HPC アプリケーションに必要なスケールアップ/スケールアウト機能を提供し、OCP アクセラレーター・モジュール (OAM) フォームファクターおよびサブシステムとして提供される予定です。
インテル® イーサネットを HPC まで拡大
ISC 2021 で、インテルはイーサネットを介する新しいハイパフォーマンス・ネットワーキング (HPN) ソリューションも発表しました。このソリューションは、標準的なインテル® イーサネット 800 シリーズのネットワーク・アダプターとコントローラー、インテル® Tofino™ P4 プログラマブル・イーサネット・スイッチ ASIC をベースにしたスイッチ、インテル® イーサネット・ファブリック・スイート・ソフトウェアを使用して、インテル® イーサネットのテクノロジー機能を HPC 分野へと拡大させます。HPN は、イーサネットが提供する使いやすさを備えつつ、低コストで InfiniBand* に匹敵するアプリケーション・パフォーマンスを実現します。
DAOS の商用サポート
インテルは、インテルの HPC アーキテクチャー全体にわたりデータ交換の最適化を図るために設計されたオープンソースのソフトウェア・デファインド・オブジェクト・ストア、DAOS (分散非同期アプリケーション・オブジェクト・ストレージ) の商用サポートを開始します。アルゴンヌ国立研究所が公開しているとおり、DAOS はインテル® エクサスケール・ストレージ・スタックの基盤となっており、LRZ、JINR (合同原子核研究所) などの顧客での採用が進んでいます。
インテルは、パートナー各社に DAOS L3 サポートの提供を開始しました。パートナー各社は、この DAOS L3 サポートと自社のサービスを組み合わせることにより、ストレージの包括的なターンキー・ソリューションを展開できるようになります。インテル独自のデータセンター向けビルディング・ブロックに加え、この新しい商用サポートの早期パートナーシップ・プログラムには、HPE、レノボ、Supermicro、Brightskies、Croit、Nettrix、Quanta、RSC Group を含むパートナーが参加しています。
ISC 2021 における講演やデモの全リストなど、インテルが公開予定の詳細情報については、https://hpcevents.intel.com (英語) を参照してください。
性能向上については、www.intel.com/3gen-xeon-config (英語) の [43, 47, 108] を参照してください。
結果は異なることがあります。
インテルについて
インテルは業界のリーダーとして、世界中の進歩を促すとともに生活を豊かにする、世界を変えるテクノロジーを創出しています。ムーアの法則に着想を得て、顧客企業が抱える大きな課題を解決する半導体製品を設計・製造し、その進化に向けて日々取り組んでいます。クラウド、ネットワーク、エッジ、あらゆるコンピューティング機器のインテリジェント化によりデータの価値を最大化し、ビジネスと社会をより良く変革します。インテルのイノベーションについては、https://newsroom.intel.co.jp または https://intel.co.jp をご覧ください。
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