この記事は、HPCwire に公開されている「Intel Employs Machine Learning for Computer Graphics Creation」の日本語参考訳です。原文は更新される可能性があります。原文と翻訳文の内容が異なる場合は原文を優先してください。
インテル® oneAPI レンダリング・ツールキットの一部であるインテル® Open Image Denoise によって最適化された画像
(出展: Frank Meinl、Morgan McGuire's Computer Graphics Archive (英語))
はじめに
インテルと言えば、多くの人はソフトウェアではなく、プロセッサーなどのチップを思い浮かべるでしょう。しかし、インテルには独立系ソフトウェア・ベンダー (ISV) と協力して作業する大規模なソフトウェア・エンジニア・チームがあり、AI やマシンラーニング、その他のインテル® ソフトウェアによる最適化を適用して、パフォーマンス向上や顧客の課題解決を支援しています。
Arnold* レンダラーとインテル® Open Image Denoise
プロフェッショナル・グラフィックス制作分野の主要企業である Autodesk との最近のプロジェクトでは、インテル® Open Image Denoise ライブラリー (インテル® oneAPI レンダリング・ツールキットのコンポーネント) を Arnold* レンダラー v7 に組み込みました。Arnold* レンダラー v7 の詳細については、Arnold* の新機能 (英語) を参照してください。Arnold* v7 では、クリエイティブ・コンテンツやグラフィックス開発を強化するため、パフォーマンスとインタラクティブ性の向上が大きなテーマの 1 つとなっています。
「今年行ったすべてのリリースと Arnold* 7 では、このテーマを中心に多くの改良が行われています。インテル® Open Image Denoise の統合はその一部です。Arnold* のような確率的パストレーサーでは、ノイズが最重要課題であり、レンダリングの品質を変えることなくノイズを除去できることは大きな成果と言えます。これは最終フレーム・レンダリングにも言えます。Cinesite は最近、インテルのデノイザーを製品化に採用し、Arnold* でのレンダリング時間を大幅に短縮しました。また、最高品質を必要とせず、スピードのほうが重要な場合にもこれは有効です。例えば、編集用の下見フィルムの場合、最終的な品質ではないものの、クリエイティブな判断を下すには十分なレベルの品質で、より多くのイテレーションを行えるようにします。OIDN のノイズ除去の品質は非常に高く、しかも非常に高速で、実際、いくつかのユースケースではノイズのないインタラクティブ・レンダリングが可能です。これは素晴らしいことです。」
Autodesk 社
シニア・ソフトウェア開発マネージャー
Frederic Servant 氏
ノイズ除去のマシンラーニング
レンダリング前。詳細は、ケーススタディー (英語) を参照。
インテルは、AI とマシンラーニングを適用してノイズ除去を高速化しました。これは、グラフィックス制作プロセスの中で、最終画像の高解像度レンダリングに先立ち、それを補完するステップです。
例えば、アニメ映画『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』は、非常に高解像度の画像を必要としました。デジタル・エンターテインメント・スタジオ Cinesite 社のクリエイティブ・チームは、インテルと Arnold* のデノイザーを使用し、『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』の制作時間を大幅に短縮しました。詳細は、「レイトレーシングが『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』に輝きと光をもたらす」 (英語) を参照してください。Cinesite 社の照明と合成の責任者である Kenny Chang 氏は、『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』のすべてのショットでインテルのデノイザーを使用したところ、レンダリング効率が 10 ~ 25% 向上したと語りました。詳細は、ケーススタディー (英語) を参照してください。
レンダリング後。
Driskill 氏は次のように述べています。
「最終的な推定では、プロジェクトの途中で 20% 程度の削減を達成しました。」
詳細は、「AI を使用して『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』の画像ノイズ除去 (およびコスト削減) を達成」 (英語) を参照してください。
Chang 氏は次のように語っています。
「『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』のすべてのショットにインテルのデノイザーを使用したところ、レンダリング効率が 10 ~ 20%、ときには 25%向上し、レンダリング時間を数千時間短縮することができました。その結果、アーティストは映画制作のクリエイティブな側面に集中できるようになりました。つまり、サンプルノイズのトラブルシューティングに時間をかけるのではなく、ショットのライティングやビジュアルをより緻密で複雑なものにすることに時間を割くことができたのです。」
効率の向上は、インテル® Open Image Denoise ソフトウェアを使用した最適化によってもたらされました。
インテルのアドバンスト・レンダリング & ビジュアライゼーション・アーキテクチャー・チームは、光や色の変化、影、斑点など、画像内のノイズを検出するマシンラーニング・モデルを作成しました。そして、ニューラル・ネットワークに何万枚もの画像を供給してマシンラーニング・モデルをトレーニングし、問題を認識して画像を迅速に最適化するようモデルに教え込みました。アルゴリズムは、レンダリング・ノイズやピクセルノイズから、画像の形状や質感、パターンをチェックし、ノイズを除去します。
インテル® Open Image Denoise
ノイズ除去は、アニメーターが時間を節約し、忠実度の高い作品を提供するため、最終レンダリングとイテレーションの両方で使用するステップです。後者の場合、ノイズ除去は、計算負荷の高いレンダリングに移る前に画像を分析します。これは、作家が編集者に見てもらうため草稿を作成するのに似ています。インテルが他社に先駆けて開発した CPU ベースのマシンラーニング型ノイズ除去ツールは優れたノイズ除去ツールであり、画像の問題を特定し、その多くを迅速に解決することができます。これにより、アニメーターは、より時間のかかるレンダリング工程に送る前に、画像にさらなる作業が必要かどうかを判断できます。計算時間の短縮はコスト削減につながり、映画監督はより高品質な画像を締め切りまでに制作できます。
インテル® Open Image Denoise の柔軟な C/C++ API は、統合を容易にします。Arnold* を使用したこのケースでは、わずか 10 行のコードが追加されただけでした。プレフィルターを有効にし、品質を向上させました。AI とマシンラーニングにより、アプリケーションはより多くのデータをモデルに通すことで学習を継続し、インテルのデノイザーは画像を素早くクリーンアップする能力を向上させ続けることができます。
最終レンダリングを高速化することは重要です。それにより、ノイズ除去ツールがどれだけ速く処理できるかが決まります。Autodesk のような ISV は、インタラクティブ性に重点を置いています。シーンを作業しているアーティストが、微調整を続けるか、最終レンダリングに画像を進めるかを決められるように、デノイザーは役立つ情報を提供します。高品質の画像である必要はありませんが、アニメーターがクリーンアップされたバージョンを見てすぐに判断できるようにし、アーティストがシーンを仕上げたら、数百のインテル® Xeon® プロセッサーが常時稼働しているレンダリング・ファームへ送り、最終的な出力を得ることができます。ノイズ除去機能は、インタラクティブ・レンダリングだけでなく、最終レンダリングにおいても重要です。
レンダリングで圧倒的なパフォーマンスを発揮する CPU
GPU が普及した今、「なぜまだ CPU の話をしているのか」と疑問に思うかもしれません。実際には、映画の高品質なレンダリングはほとんどすべて CPU で行われており、それにはいくつかの理由があります。
第 1 に、GPU が高速に動作するのは、すべてがローカルメモリーにあるときだけです。映画スタジオでは、100GB を超える最終シーンのレンダリングが日常的に行われており、これは GPU メモリーには収まりません。
第 2 に、GPU は一度に多くのデータに対して同じことを行うように設計されています。しかし、レイトレーシングは一貫性がなく (各レイは異なる方向に進み、異なるオブジェクトと交差し、異なるマテリアルをシェーディングし、異なるテクスチャーにアクセスします)、このアクセスパターンは GPU のパフォーマンスを著しく低下させます。
最後に、ハイエンド・レンダリングは複雑なシェーディング・ネットワークに依存することが多く、レイトレーシングが主要なボトルネックにならないことがよくあります。これは、GPU に容易に移植できないサードパーティー・シェーダーに依存することが多いため、さらに複雑になります。
インテル® Open Image Denoise には、2 つの重要な利点があります。それは、ユビキタス CPU で動作することと、AI ベースであることです。高速、高品質、そして CPU で動作します。これは、ユーザーに追加の選択肢を与える新しいソリューションです。これまでの CPU ベースのデノイザーは、AI ベースではないため、低速でした。インテル® Open Image Denoise では、ノイズ除去がほぼ瞬時に行われるため、アーティストは CPU ベースのインタラクティブ・レンダリングを行い、レンダリング・ワークロードを高速化して制作期間の短縮を図ることができます。
インテル® oneAPI レンダリング・ツールキットに含まれるインテル® Open Image Denoise (英語)
インテル® Open Image Denoise (英語)
法務上の注意書き
Testing date: Results are based on data conducted by Cinesite in 2020–21.10% to up to 25% rendering efficiency, thousands of hours saved in rendering production time, and 15 hours per frame per shot to 12–13 hours. Cinesite configuration: 18-core Intel® Xeon® Scalable processors (W-2295) used in the render farm, workstations based on 2nd generation Intel Xeon processors (W-2135 and -2195) used. Rendering tools: Gaffer, Arnold, and optimizations by Intel Open Image Denoise.
インテルは、サードパーティーのデータについて管理や監査を行っていません。ほかの情報も参考にして、正確かどうかを評価してください。
性能は、使用状況、構成、その他の要因によって異なります。詳細については、http://www.intel.com/PerformanceIndex/ (英語) を参照してください。
実際の費用と結果は異なる場合があります。
インテル® テクノロジーの機能と利点はシステム構成によって異なり、対応するハードウェアやソフトウェア、またはサービスの有効化が必要となる場合があります。
インテルは、サードパーティーのデータについて管理や監査を行っていません。ほかの情報も参考にして、正確かどうかを評価してください。
© Intel Corporation.Intel、インテル、Intel ロゴ、その他のインテルの名称やロゴは、Intel Corporation またはその子会社の商標です。
* その他の社名、製品名などは、一般に各社の表示、商標または登録商標です。
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