最先端のビジュアル品質検査

AI

この記事は、The Parallel Universe Magazine 55 号に掲載されている「State-of-the-Art Visual Quality Inspection: Efficient Anomaly Detection」の日本語参考訳です。原文は更新される可能性があります。原文と翻訳文の内容が異なる場合は原文を優先してください。


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異常検出は、時間と労力がかかるため、一般的な産業環境の大量データへの適用は制限されます。人工知能 (AI) は、生産性の向上、優れた洞察、ダウンタイムの短縮、優れた製品品質を可能にすることで、産業用のモノのインターネット (IIoT) を変革しています。異常検出リファレンス・キット (英語) は、AI を活用した高解像度画像のビジュアル品質検査を提供し、生産ラインで生じる不良品のように、まれに発生する異常事象を特定します。概念的には、通常のデータポイントと統計的に異なる外れ値を検出するため、金融取引の不正検出、製造業の品質監視、スパムメールのフィルタリング、ネットワークの侵入検知などのユースケースにも適用できます。このリファレンス・キットは「そのまま」使用することも、アプリケーションの要件に合わせて変更することもできます。

異常検出にはいくつかの課題があります。生データから表現を抽出するには、特徴量エンジニアリングが必要です。従来のマシンラーニング手法は手動の特徴量エンジニアリングに依存しており、異なる設定に必ずしも一般化できるとは限りません。ラベル付きのトレーニング・データも必要になるため、データ収集とアノテーションのオーバーヘッドが増加します。異常はまれにしか発生しないため、適切なバランスのトレーニング・データを用意することは不可能です。つまり、標準的な分類手法は適していません。異常の性質は偶発的な可能性があり、欠陥はさまざまな予測不能な理由で発生する可能性があるため、異常の種類を予測することが不可能な場合があります。

優れたパフォーマンスを達成しつつこれらの課題を克服するため、異常検出向けの、教師なし、混合方式のエンドツーエンドの調整および推論リファレンス・キットを利用することを提案します。このキットは、教師なし方式で正常なデータから正規性のモデルを学習し、モデルからの逸脱に対し異常としてフラグを立てます。このリファレンス・キットは、インテルにより最適化されたソフトウェア (英語) によって高速化され、使いやすいインテル® Transfer Learning Tool (英語) の API を使用して構築されています。

MVTec AD – 教師なし異常検出用の包括的な実際のデータセット

MVTec AD (英語) は、工業検査アプリケーションの異常検出に広く利用されているベンチマーク・データセットです。ボトル、タイル、木材など、15 の異なる物体カテゴリーの 5,000 枚を超える高解像度カラー画像から構成されており、すべてのカテゴリーで合計 60 種類の異常が含まれています (表 1)。各カテゴリーで、データセットは通常の画像のトレーニング・セットと 6 つの異なる種類の異常を含む画像のテストセットを提供します。異常は、物体にさまざまな変化 (切れ目、傷、汚れなど) を加えることにより手動で導入されます。このデータセットは、現実の世界の異常を模倣した高難易度かつ現実的な画像セットを提供するため、異常検出手法のパフォーマンスを評価するのに役立ちます。


表 1. MVTec AD データセットの概要。カテゴリーごとに、トレーニング・イメージとテストイメージの数、テストイメージに含まれる欠陥に関する情報が示される (出典 (英語))。

ビジュアル品質検査のパイプライン

このリファレンスは、分布外検出アプローチである深層特徴モデリング (英語) を使用しています。モデルは、トレーニング・データと異なる入力を検出すると、その入力を異常としてマークします。ビジュアル品質検査パイプラインには、データの前処理、特徴抽出、良画像のトレーニング、良および不良テスト画像の推論、評価メトリックの計算が含まれます。

データの前処理と特徴抽出

MVTec AD はトレーニング・データセットとテスト・データセットにすでに分割されているため、画像を正規化してサイズを変更し、特徴抽出モデルと互換性があるようにすることから始めます。すべての画像のサイズを [224, 224, 3] に変更し、ImageNet データセットの平均と標準偏差を使用して正規化します。特徴抽出では、畳み込みニューラル・ネットワークまたはその他のディープラーニング・アーキテクチャーを使用して、入力画像から高レベルの特徴を抽出します。

異常検出のトレーニング

このステップでは、抽出した特徴の正常パターンと異常パターンを区別する方法を学習して、異常を特定するようにモデルをトレーニングします (図 1)。ビジョンサブタスクのモデリングには 3 つのオプションがあります。

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